『関節を増やすイメージ』をあれだけ繰り返し描写し、イメージの力とそれによる上達を描いておきながら、その行き着いた果てが、イメージでもなんでもないただの「現実の」「普通の」骨だった……。
『刃牙』シリーズは、現実にありそうでなさそうな、いわゆる「ハッタリ」がよく出てくる。その大抵はただのハッタリのまま投げっぱなしで終わる。しかし、愚地克巳が『イメージで骨を増やす』というハッタリによって描かれる成長には、珍しく『オチ』が存在するのだ。
しかし前向きな視点で整理すると、『腕が裂けることによって魔法は解けてしまったが、そこにまで至ったのは他でもないイメージの力によるもの』とも言える。つまりハッタリは完全に失われたわけではない。そういうところも含めて、この『オチ』はシリーズのなかでもかなり好きなシーンの1つである。